乳房温存療法

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10年ほど前は乳がんの手術と言えば、乳房切除術(乳腺全体を切除する方法)が主流でした。

しかし、最近ではできるだけ乳房を残して治療を行う、乳房温存療法を選択する割合が高くなり、2011年次の日本乳癌学会全国乳がん登録において58.6%に行われています。この治療法はまず、乳房を部分的に切除する乳房温存手術で、がんを取り除きます。その後、乳房内に残存している可能性がある微小な癌細胞を根絶するために、放射線治療を行います。

Q : 乳房温存療法と乳房切除術ではどちらが再発しやすいですか?

放射線治療により局所再発を約1/3に減少させることが可能であることが分かっています。そのため、乳房を温存した場合でも放射線治療を行えば、乳房切除術を受けた場合と予後は変わりありません。

Q : 乳房温存手術の後の放射線治療とは?

「全乳房照射」が現在の標準治療です。全乳房照射は、5~6週間、毎日(月~金曜日)、体の外から乳房全体に放射線を照射します。通常、総線量は45-50.4Gyで1回線量1.8-2.0Gyが一般的です。1回の放射線治療の時間は短いものの、治療期間が長く、生活に様々な負担や支障を生じる可能性があります。また放射線治療により腕神経障害(1.8%)や肋骨骨折(1.8%)放射線肺臓炎(1%)、心外膜炎(0.4%)などの晩期障害も認められます。

新しい放射線治療

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SAVIを用いた新しい乳房温存手術

照射期間の短縮と照射範囲の縮小による有害事象の減少を目的に加速乳房温存部分照射法が開発されました。

SAVIとは?
SAVI®アプリケーターは、加速乳房部分照射法に用いられる新しいタイプの医療機器です。

乳房の中から直接、放射線を照射できるように機械(カテーテル)を一時的に埋め込んで放射線治療を行います。これにより乳房全体ではなく切除した部分のみ(最も再発しやすい部分)に放射線を照射することができ、また、従来の治療と比較して非常に短い期間にて治療が可能です。

SAVIを用いた乳房温存療法は2006年にアメリカで承認され、2013年5月までに14000人以上に施行しています。我が国においては2013年6月に承認を取得し、密封小線源治療として保険診療が可能です。当院では2014年2月よりSAVIを用いた治療を開始しました。

従来の放射線治療との違い

大きな違いは以下の2点です。

  • 全乳房照射ではなく、デバイスがある一定の部位にのみへの照射である。
  • 通常の照射より1回の照射線量が高く、1日2回の照射を行うことで、従来約5-6週間程度かかる期間を5日間に短縮できる。

再発率の違いは、まだ世界的にも新しい治療のため、長期の成績は報告されておりませんが、2013年にされたカリフォルニア大学サンディエゴ校放射線科のYashar先生の報告では2年の局所再発は約2.5%でした。(従来の放射線治療と変わりありません)

治療中の特有な合併症としては重大なものはありませんが、挿入された器具による違和感を感じる方はいらっしゃいます。

実際のSAVIによる放射線治療

挿入
手術時または手術後にSAVIカテーテルを挿入します。
拡張
SAVIカテーテルを広げて、がんを取り除いた後の空洞にフィットさせます。 (治療中は広げたままの状態にします)
抜去
放射線治療終了後にカテーテルを抜き、挿入部の創処置を行います。
放射線治療
1回3.4Gyの放射線照射を1日2回、5日間、計34Gy行う。

当院でのSAVIを用いた乳房温存療法の流れ

基本的に、当院では乳房温存手術から引き続きSAVIによる放射線治療を一連の入院で行っており、入院期間はすべて含めて17日間で治療を行っております。

本治療の対象となる患者さんは限られているため、ご希望の方は担当医とご相談してください。

Q&A SAVIに関するよくある質問事項

QSAVIは米国でいつごろ承認されたのでしょうか?

2006年にFDAで承認されており、2006年11月に世界で最初に使用されております。

QSAVIは、ピンポイントでの放射線治療を行うということですが、どのようにして必要な個所に放射線を当てることができるのでしょう?

SAVIは放射線治療用の小線源を入れられる非常に細い数本のカテーテルで構成されています。挿入された部位のCTを撮影して各カテーテルから照射される放射線量をコンピュータで計算することで、必要な個所にピンポイントな照射が可能となっています。

QSAVI治療はすべての乳がん手術後の患者さんに有効ですか?

基本的には乳房温存療法が可能な患者さんに有効です。

Q乳がんの種類によってSAVI治療に適さない場合もありますか?

乳房温存療法が可能であっても、高度のリンパ節転移やリンパ管侵襲など全乳房照射の方がより良い結果が期待できる患者さんには適しておりません。

また病変が乳房の内側の端に近いなどの病変の位置や高度の糖尿病などを合併している患者さんも適しておりません。

Q乳がん患者さんの中でもっともSAVI治療に適した患者さんは?

病変の大きさが画像的に2cm以下であると考えられる患者さんが最も適しています。

QSAVI治療は放射線治療期間がかなり短く、わずか5日の治療とのことですが、治療中になんらかの副作用はありますか?これまでの放射線治療と比べた時の被曝量に違いはありますか?

治療中の特有な合併症としては重大なものはありませんが、挿入された器具による違和感を感じる方はいらっしゃいます。これまでの放射線治療と比較すると1回の放射線被ばく量はやや高いですが、特に問題のある線量ではありません。また、治療全体で受ける被ばく量は通常の治療と比較して低いです。

QSAVIのパーツを胸に挿入することによる違和感はありますか?

治療中に器具による多少違和感を感じられる方はいらっしゃいますが、気にならない方もいらっしゃいます。

Qこれまでの放射線治療と比べてSAVI治療を受けた場合の乳がんの再発率に変化はありますか?

まだ世界的にも新しい治療のため、長期の成績は報告されておりませんが、2013年にされたカリフォルニア大学サンディエゴ校放射線科のYashar先生の報告では2年の局所再発は約2.5%でした。

Q費用はどのくらいでしょうか?

日本でも2013年6月13日に薬事承認を受けており、保険適用となっております。費用は放射線治療のうち小線源療法と同じで約14万円(保険診療3割負担で)となります。

Q昭和大学でSAVI治療を受けられた患者さんは何名くらいいらっしゃいますか?

2016年5月現在で20名の方が治療を終了されました。

Qすでに昭和大学SAVIのアプリケーターによる放射線治療を受けた人達の感想はいかがですか?

放射線治療に伴う皮膚発赤などは感じません。器具による違和感を若干感じた方もいらっしゃいます。放射線治療中は入院による治療となりますが、特に治療による副作用を訴える患者様はいません。

Q地方在住者の場合、乳がん手術を地元で受け、その後SAVIで放射線治療を受けることはできますか? 昭和大学で外科的手術を受けない場合でもSAVI治療だけを昭和大学でを受けられますか?

地方在住の方で手術を地元で受け、SAVI治療を昭和大学で受けることは可能ですが、SAVI治療の器具が挿入可能であるかなどの条件を満たした場合では可能です。

地方在住の方が地元で手術を受け、SAVI治療を当院で受けたいというご希望のある場合、当院で受け入れは可能ですが、手術時の病理検査結果が必要です。病理検査結果が出た時点での受診をお願いしております。基本的には、当院では現在、乳房温存手術から引き続きSAVIによる放射線治療を一連の入院で行っており、入院期間はすべて含めて17日間で治療を行っております。